技術の進歩とリアリティ
ジェット・リー扮するダニーが幼いまま戦闘マシーンのように扱われ、首輪をつけられて文字通りマフィアの犬のようにボスに飼われて金儲けの道具に使われたりする。けど犬が本当の記憶を取り戻したらーー的な映画。
2005年なのであらすじとか長所短所は他の人のほうがうまく書いているだろうから割愛。
ネットの評判で作品の善し悪しを決めて観てるいるわけではないですが、平均するとこの映画はA級未満B級以上という扱いなんではなかろうか。
方や「ボロクソに書きつつもいい映画」であったり「ありえないツッコミどころ満載でクソ映画」だったり「普通におもしろい☆5のなかでは☆3」というもの。
ツッコミどころとしては、マフィアの元から離れたダニーを盲目のモーガン・フリーマンが家に連れてきて「一緒に暮らそう。素性はそこまで気にしてないけど(チラッチラ 一緒に住んでる孫いるけど」と無理やり。
ダニーは幼少のころからピアノに触れててそれがきっかけでピアノから過去の記憶を思い出す。でも何故ピアノ奏者の息子が鍵盤ではなく拳で人を叩く技術を身に着けたのかとかは謎。
まぁ映画とか芸術ものには”あまり”つっこんでは面白くなくなるし、そこは目を伏せなければいけない観客側の最低限のマナーというか唯一観ながらできる仕事。
”あまり”というのはツッコんで面白い場合もあるわけで。
ツッコんでいくとより作品の深みが出たり、なんてことない台詞がきっかけになってて痛快アクション映画と思ってたら意外とシリアスだったの場合もあることはたまにある。
さてタイトルの技術の進歩とリアリティ。
80年代90年代のSF映画、アクション映画ばかり観ていた小学生時代。(小学生低年代のときはエイリアン2とプレデター1,2が大好きだった)
2000年代になってCGで新しい技術が入ってマトリックス旋風。
2010年代近くなってスローモー多様や撮り方特殊効果に注目され始めて、話や演技の上手さなど置き去りになってきたように思える。
単純に新しくなって、進歩した技術を使っていって更に発展させようという映画の流れがあるんでしょう。いいことだし楽しい。けど脚本とか役者無視して撮り方特殊効果を主に評価する風潮はいただけない、内輪じゃんってひねくれ者は思うわけで。
最近は背景が発展して、本当にCGと実際の背景とは見比べもつかなくなって来ていてわかりやすく表現の幅が広がってきたな!こらワクワクすっぞ!と興奮を覚えています。
けんども、言いたいことは作り手の技術進歩で楽しくなる!ということでなくてね。
受け取り手の技術進歩で自分が面白くなくなってるんじゃないかって言うことを言いたい。
ツイッターでなくてもネット周りが発展、というよりかは展開されていって情報がわかりやすく手に入るようになってきているわけで。
得にくかった情報が容易く手に入るのはわかりやすく技術の進歩といっていいでしょう。情報が溢れて入手できるからこそ、今の現状をちゃんと認識しようって流れが2010年以降顕著になったように思える。
さっきのダニー・ザ・ドッグの批評でツッコミにツッコんで書いていたのは2016年の記事でボロクソに書きつついい映画と評していた人は10年代より前だった。
もちろんこの2つだけで「現状を認識していきたい運動からこんな書き方になってる」とかって言いたいわけではない。
単純に、最近SF映画を見かけなくなったのはさっきの現状を認識しようっていう動きが未来に対するロマンですらもツッコミいれられちゃうから少なくなっちゃったのかなぁって思ってこんなこと書いているだけ。
要は「こんなん現実ではあり得なさすぎて面白くないわー」っていう評価の声が大きくなってないか?創作物にもリアルは必要だけどリアルすぎると面白くなくない?
ロマン持とうぜ!と声を大にして言いたい。
確かに00年代後半は世界を破滅させるのを一人でどうにかしようとか、新世界の神になるとか、中世世界に現代人が飛ばされて~とかありえないwwwって流行ったから今反動でそれってどうなん?ありえなくない?って急に賢者タイムになってる気がする。
リアリティがある程度あると見やすい、現実世界が主となっててそこからちょっとずれた世界観はわかりやすく面白いしツッコんで行けば行くほど味は出てくるんだけど、これが主流になっていくと作り手も観る方も想像力がしなびていくんじゃないかと恐怖する。
自分も含む受け手は創作物にあった情報を判断して、混雑させてはいけなくなってる時代なんだろうな。
情報が溢れてわからないものをすぐわかるようになる技術の進歩は想像力を奪っていった。ちゃんとした裏付けがないといけないと楽しめなくなってるのは悲しいことだなっと謎上から目線で思う。
ダニー・ザ・ドッグはありえない展開からのあるあるお約束がわかりやすい映画で、欠点は想像力を働かせても観ているもの以上に面白くはならない映画でした。